インプラントQ&A

インプラント治療とはどのようなものですか?

インプラント治療とは、歯を喪失した部分の骨の中に人工歯根(現在、純チタン製が一般的です)を埋入し、その上に補綴物(噛むためのブリッジや被せ物)を製作する治療方法です。1本の歯を失った患者様から全ての歯を喪失した方まで、幅広いタイプの症例に応用できます。

インプラント治療の費用はどのくらいですか?

医院の治療方針や使用するインプラントのメーカーによっても変わるため、一概に幾らとは言えませんが、一般的にはインプラント1本あたり40万円~50万円くらいです。
高すぎる点も問題かもしれませんが、安すぎるインプラントにも疑問が残ります。当院では1本あたり20万円の手術料に加え、上部構造(クラウン)は17万円が基本的な治療費です。しかし口の中の状態は千差万別のため、あくまで目安とお考えください。

インプラント治療の歴史について教えてください。

世界最古のインプラントは、1981年にトルコの古墳で発見された上顎犬歯部の石製のインプラント。紀元前約550年のものと推定されます。また、1931年にウイルソン・ポペノー(Dr. and Mrs. Wilson Popenoe)により発見されたインプラントは、現存する最古の”成功したインプラント”といわれ、紀元約600年にマヤ文明時代の下顎骨(3本の前歯を抜歯した部分)に埋入されたもの。なんと真珠貝を歯の形に製作したものでした。
近代では19世紀になって、様々な素材や形態のものが試みられましたが、生体親和性(生きた身体がどの程度人工物を受け入れられるのかという性質)に関する検討が十分なされなかったために、不満足な結果に終わりました。
しかしスウェーデンのブローネマルク教授は、1952年のとある実験中に、偶然純チタンと骨が結合することを発見。この現象をオッセオインテグレーションと名づけ、インプラント自体を、オッセオインテグレーテッド・インプラントと名づけたのです。
そして教授は、1952年から1965年まで13年もの間、インプラントの素材、デザイン、生体の反応などを徹底的に実験・検討し、1965年に初めて患者への応用を開始しました。さらに1982年にカナダのトロントで開かれた国際会議場で15年間のデータを公開し、論文も発表。その高い成功率と厳格なプロトコール、誠実なデータの取り方に世界中が驚愕したことはいまや伝説になっています。

インプラント手術はどのように行われるのですか?

現代のインプラント治療を確立したのはブローネマルク教授とそのチーム。彼らの功績はインプラント体と生体間の生物学を科学的に研究し、生体に適切な反応をするインプラントの材質、デザイン、表面構造などを解明したことのみならず、インプラントを成功に導く治療法の標準(プロトコール)を示したことにあります。
当院ではスウェーデンでインプラント治療について学び、医師にブローネマルク・インプラントの教育を行う院長が、このプロトコールに則って治療を行います。
手術への恐怖感が強い方に対しては、麻酔科医を大学から派遣してもらい静脈内沈静法を行いますのでご安心ください。静脈内沈静法は麻酔したことを覚えていないほどであり、ウトウトしている間に手術は終了します。

インプラントはどのような患者様に適しているのですか?

インプラント治療は、1本の歯を失った方から全ての歯を喪失した方までほとんどのケースに応用は可能です。他院で治療をお断りされた方の多くは、顎の骨が足りないためですが、当院では骨を造成する手術も可能なため、お断りすることはほぼありません。
歯を欠損した場合、ブリッジや入れ歯などの選択肢もありますが、なかでもインプラントが有効なのは下顎で歯を喪失した方です。その理由は、下顎は舌の存在により入れ歯の安定性が確保しにくいため。さらにはインプラントの成功率はほぼ100%に近いため安全なのです。
その他にも、友人の方々と旅行に行く際に入れ歯を取り外すところを見せたくないなど、入れ歯を入れることで心理的な影響がある方にもインプラントは適しています。実際スウェーデンの心理学者が調べたデータによると、総入れ歯の患者がインプラント治療を受けた後、社会的な自信を取り戻すことが多いと報告されています。

インプラント手術は痛くないのですか?

ほとんどの患者様が「まったく痛くなかった」とおっしゃいますが、口腔内の粘膜を切開するため、手術直後は鎮痛薬を服用する必要があります。
最近ではIT技術により、インプラント手術に際して、痛みや腫れまでをも無くす治療法が確立されました。

従来の治療法に比べてインプラントの優れた点は何ですか?

インプラント治療は、これまでの欠損歯の治療法である補綴(ほてつ)に比べて、数多くの利点があります。まずこれまでの補綴治療では、入れ歯にしろブリッジにしろ、他の歯にない歯の分を負担させることが避けられませんでした。しかしインプラントの場合、残存する他の歯に負担や犠牲を強いることはないのです。
その他にもインプラント大きな利点として「長持ち」があります。データではブリッジなどの従来の治療法の場合、5年後に25%~30%がやり直す必要があるとの結果になっています。これに対しインプラント治療の最近のデータでは、10年後でも95%以上の成功率が報告されています。

インプラント手術の危険性はどうですか?

インプラント手術は安全性の高い手術ですが、外科手術ですので危険性が皆無なわけではありません。外科手術に不慣れなドクターは勿論問題ですが、日本の歯科医に対するトレーニングの問題点として、基礎医学教育の不足があります。臨床解剖学は特に手術に大切な分野。つまりインプラント手術の危険性はインプラントそのものではなく、ドクターの能力次第という事になります。

インプラントが適さない症例や欠点は何ですか?

当院院長が所属していたスウェーデンのウプサラ大学口腔顎顔面外科で、インプラント失敗の統計学的分析を行ったことがあります。それによるとインプラント治療に特異的(他の治療法に比べて特徴的な)な失敗をまねく健康状態はないことが分かっています。ただし、清掃状態が極めて不良な方や、治療後に適切なブラッシングができない方は適さないのではないでしょうか。
そしてインプラント手術の欠点は、規模は小さいものの手術が必要ということです。やはり外科的な治療は、患者様にとっては怖いものでしょう。さらにはドクターの技術の差が大きいことも、治療の欠点ではないでしょうか。
そしてもう一つインプラントの欠点として、高額な費用が挙げられます。スウェーデンでは保険治療ですが、日本で将来的にインプラント治療が保険診療に組み込まれることはほぼないと考えられます。

インプラント治療を成功させるためには何が重要ですか?

インプラント治療を成功させる鍵は、2つに分けて考えることができます。それはインプラント治療が終わって機能が回復するまでと、その後の長期的な経過の2つです。
前者の機能が回復するまでの間とは、インプラントが骨に結合するまでの間。つまり、骨とインプラントの結合を成功させることが重要なのです。
そしてインプラント治療が成功裏に終わり、機能や審美性が回復したとしても、それが長く継続しなければ意味がありません。長期的な経過を良好なものとするためには、定期的な清掃・咬合(かみ合わせ)のチェック・機械的な疲労や磨耗のチェックの必要があり、これらは患者様が定期的にメインテナンスに通院してくださるという協力が不可欠なのです。